大学院進学の際、他大学の大学院に進学するか悩む方は多いと思います。専門分野の権威である○○先生の研究指導を受けたい。異なる視点から□□を研究したい。異なる分野に挑戦したい。就職に有利な大学院に進学したい(学歴ロンダリング)なんて方もいると思います。外部進学、大いに結構。私自身、先導的融合工学を学びたいと外部進学しました。ただ、その経験から、アカデミア研究者を目指す方は外部進学は慎重にしてほしいことを、お伝えしたいと思います。

 アカデミア研究者は、高い専門性と幅広い知識、そして次世代の研究者を育てる指導力が求められる職業であり、その基盤は大学院在学中に形成されます。外部進学には、アカデミア研究者の基盤形成を阻む下記の3つの落とし穴があります。

1. 研究期間が短くなる

 内部進学の場合、多くは指導教官と研究方針の合意が済んでいるため、大学院進学直後から研究に着手することができます。一方、外部進学の場合、新しい指導教官と研究方針について議論する必要があるため、どうしても研究期間は短くなります。極端な例ではありますが、私は、研究テーマが決まるまで1年半以上かかり、卒業研究よりも修士研究の方が研究期間が短くなってしまいました。十分な研究期間を確保したい方は、外部進学を避けるか、大学院進学前に新しい指導教官と研究方針について議論する機会を設けて、研究期間を確保する努力をする必要があります。

2. 研究発表の機会が減る

 内部進学の場合、指導教官が卒業研究の発表機会を設けますし、研究期間が長い分、発表する機会がたくさん巡ってきます。一方、外部進学の場合、多くは卒業研究の発表機会を失いますし、研究期間が短い分、どうしても発表する機会が減ります。私のように、修士課程修了時点で、一度も発表する機会に恵まれなかったという外部進学経験者は非常に多いと思います。研究発表の機会に恵まれたい方は、外部進学を避けるか、卒業研究の発表機会を設けてもらえるよう働きかけたり、短い研究期間であっても多くの研究成果を出し、研究発表の機会を増やす努力をする必要があります。

3. 学生の指導経験を積めない

 内部進学の場合、指導教官から学部時代に受講した授業の教育補助を依頼されることがあり、引き受けると教育歴になります。一方、外部進学の場合、各大学によりカリキュラムは異なるため、指導教官から教育補助を依頼されることは稀です。こればかりは依頼の有無で決まってしまうため、履歴書に記載できる教育歴が欲しい方は、外部進学を避けるしかありません。ただし、学生の指導経験の基盤となるのは、研究室内の勉強会です。研究に役立つ知識を貪欲に追い求めていれば、外部進学者であっても勉強会を主導することができます。また、教育概要には記載できるため、努力を怠らないようにしましょう。

 外部進学経験者でありながら、優秀なアカデミア研究者になった方はたくさんいらっしゃいます。外部進学には、確かに、アカデミア研究者の基盤形成を阻む3つの落とし穴がありますが、その多くは本人の努力次第で回避できます。以上を踏まえて、自分に合った道を選択をしていただければ幸いです。

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